Linuxにおける「リカバリーポイント」は、主にシステムスナップショットと呼ばれます。
1. 最も一般的なツール:Timeshift
デスクトップユーザーにとって、最も簡単で信頼できるのが Timeshift です。システムファイルの変更を監視し、OSが起動しなくなった場合でも「過去の正常な状態」に一瞬で戻せます。
作成手順
- インストール:
- Ubuntu/Mint系:
sudo apt install timeshift - Fedora系:
sudo dnf install timeshift
- Ubuntu/Mint系:
- 初期設定:
- RSYNC(一般的)または BTRFS(ファイルシステムが対応している場合)を選択します。
- 保存先は外付けHDDや別パーティションを推奨します。
- スナップショットの作成: 「作成(Create)」ボタンを押すだけで、現在のシステム状態が保存されます。
復旧手順
- OSが起動する場合: Timeshiftアプリを開き、リストから復元したい日付を選んで「復元(Restore)」をクリック。
- OSが起動しない場合:
- LinuxのライブUSB(インストール時に使ったもの)から起動します。
- ライブ環境でTimeshiftをインストール・起動。
- 外付けHDDなどのバックアップ先を指定し、復元を実行します。
2. ファイルシステムレベル:Btrfs スナップショット
もしOSインストール時にファイルシステムとして Btrfs を選んでいるなら、より高度な管理が可能です。
- 特徴: 書き込み時コピー(CoW)という技術を使うため、スナップショット作成が一瞬で終わり、容量もほとんど食いません。
- ツール:
Snapperというツールを使うのが一般的です。 - GRUB-Btrfs: これを導入すると、PC起動時のメニュー(GRUB)に過去のスナップショットが表示され、**「壊れる前の状態をそのまま起動する」**という魔法のような使い方ができます。
3. サーバー・上級者向け:dd コマンド
ディスクを丸ごとイメージ化する方法です。
- 作成:
sudo dd if=/dev/sda of=/path/to/backup.img status=progress - 復旧:
ifとofを逆にして実行します。 - 注意: 非常に時間がかかり、保存先の容量もディスクサイズ分必要になるため、日常的なリカバリーポイント作成には向きません。
比較表:どれを使うべき?
| 手法 | 推奨ターゲット | メリット | デメリット |
| Timeshift | 初心者〜中級者 | 操作が簡単、GUIがある | ユーザーデータ(Home)は基本対象外 |
| Btrfs/Snapper | パフォーマンス重視 | 高速、ストレージ効率が良い | 設定に少し知識が必要 |
| Clonezilla / dd | 完全バックアップ | ディスクの完全複製が可能 | 柔軟性が低く、時間がかかる |
💡 重要なアドバイス
Linuxのリカバリーツール(特にTimeshift)は、デフォルトでは「ドキュメントや写真などの個人ファイル」をバックアップ対象から除外します。これは、システムを戻した時にせっかく書いた原稿まで消えないようにするためです。
個人データのバックアップには、別途 Pika Backup や Déjà Dup といったツールの併用を強くおすすめします。
Timeshift 基本コマンド
主に以下のコマンドで管理できます。
- スナップショットの作成(手動)
sudo timeshift --create --comments "バックアップのメモ" - 作成した一覧の表示
sudo timeshift --list - 指定したスナップショットへの復元
sudo timeshift --restore --snapshot '202X-XX-XX_HH-MM-SS' - スナップショットの削除
sudo timeshift --delete --snapshot '202X-XX-XX_HH-MM-SS'
主な使い方
- インストール
sudo apt install timeshift(Ubuntu/Debian系) - 初期設定 (ウィザード)
初めて使う際は、GUIで起動しスナップショットタイプ(通常はRSYNC)やバックアップ先、スケジュールを設定します。 - 手動バックアップ
sudo timeshift --create --comments "update_before" - 復元 (ロールバック)
一覧からIDを選択し、sudo timeshift --restoreを実行。システム再起動後、設定した状態に戻ります。
覚えておくと便利なポイント
- ホームフォルダは対象外: デフォルトでは
/homeフォルダはバックアップされないため、データ用には他のツールが必要です。 - 自動バックアップ: 設定後は、
crond/anacronにより自動でバックアップが作成されます。